不動産取引においてよく取り上げられる問題の1つに、瑕疵担保責任があります。わかりにくい内容ですが、現実に問題になることも多いので、基本的なことをまとめておきたいと思います。
「瑕疵」とは、契約上予定されていた品質、性能が欠けていることをいい、 売買契約の目的となる(今回は)不動産に、通常の注意では発見できないような隠れた欠陥があること、および、買主がその瑕疵の存在を知らなかった場合に、瑕疵担保責任を問われることになります。「隠れた」とは、相当の注意を払っても発見できないという意味ですので、外見上明らかなものや予め説明済みの瑕疵は瑕疵担保責任の対象にはなりません。
「瑕疵」の種類として、最近の判例等の中では、物理的な瑕疵(雨漏り、シロアリ、土壌汚染、地中障害物など)に加え、法律的瑕疵、心理的瑕疵、環境瑕疵なども認められています。
では、買主が瑕疵を発見した場合ですが、民法上の原則では 、買主が瑕疵を知ったときから1年以内 に損害賠償請求することができるとされています。さらに、瑕疵の程度が大きく、契約の目的が達せられない場合には、売買契約の解除を請求できることとなっています。引渡し後の年数についての規定はありませんが、平成13年11月の最高裁判例で、瑕疵担保による損害賠償請求権は引渡しの日から10年で消滅時効にかかるとの判断を示しました。
しかし、売主、買主が個人同士の売買では 、瑕疵担保責任を負わないとする特約や、開始担保責任を負う年数を一定期間に制限する特約も有効とされます。ただし、宅地建物取引業者が売主の場合には、物件の引き渡しが2年以上とすることとされています。
さらに、新築住宅の買主においては、「住宅の品質確保の促進等に関する法律」、「特定住宅瑕疵担保責任の履行の確保等に関する法律」によって、より手厚い保護が定められています。
次回以降、その法律および制度について、ご説明したいと思っています。