今年4月から始まった教育資金の一括贈与についての非課税制度に対する関心が高いようです。相続税の増税が予定されていることと関係があると思いますが、2015年末までの期間限定という点も気になるところでしょうか。
もともと、孫の教育費を、祖父母がその必要の都度支払うのであれば、この制度がなくても原則贈与税はかからなかったはずです(まとめて贈与する場合は対象となります)。
今回の制度、祖父母から孫、親から子へ教育資金を一括贈与する場合、最大1500万円まで非課税になるものですが、この制度を利用するためには、金融機関に受取人名義の口座をつくってそこに入金した後、使った教育費の領収書等を金融機関に提出することで、そのお金を使う必要があるものです。
印象として、とても面倒に感じられます。税務上の特典を使う場合には、いろいろ手続きがあるのは仕方がないところもありますが、前述の通り、教育費を必要の都度自分の口座から引き出して支払っても、贈与税の対象とはならないのが普通です。さらには、贈与契約の上この口座を使うことで、将来の資金使途を限定してしまうこともデメリッのように思われます。
この制度を使いたいのは、祖父母の資産が相続税の対象となるので対象資産を減らしたい場合、もしくは早いうちに相続対象資産の配分を進めることが求められているケースなどでしょうか。
確かに教育資金は非常に大きい支出で、ずっと私立の学校にいく場合1500万円でも不足するケースが少なくありません。祖父母からの援助を期待するのも有り、でしょう。この制度の利用の検討をきっかけとして、子供の教育資金が、いつ、いくら必要なのか、自分たちの今の収入と貯蓄計画も十分間に合うのか、話し合って確認していただければと思います。